特別企画:介護ロボットから介護テクノロジーへの新展開
演者:渡辺 信彦(経済産業省 ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室 室長)
峰村 浩司(厚生労働省 老健局 高齢者支援課 課長)
里見 智美(日本医療研究開発機構 医療機器ヘルスケア事業部 ヘルスケア研究開発課 課長)
大野 悦子(日本生活支援工学会 会長/(医)弘善会 介護老人保健施設アロンティアクラブ)
本田 幸夫(東京大学大学院工学系研究科/日本医療研究開発機構 PO)
日時:8月27日(水) 13:30~15:15(予定)
司会:森 武俊(東京理科大学)、井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
要旨:介護する側の生産性向上や負担軽減と介護される側の自立や社会参画の促進に資するロボット介護技術やICT・IoT・AI 技術等)の開発・普及を目的に、これまで行われてきた「ロボット技術の介護利用」に関する取り組みを総括し、「介護テクノロジーの利用」の新しい展開への期待と展望を議論する。
特別講演:大規模災害時の止めない医療を目指して
演者:山家 敏彦(神奈川工科大学 健康医療科学部 臨床工学科 特命教授)
日時:8月28日(木) 13:30~14:15(予定)
司会:松田 康広(神奈川工科大学)
要旨:【医療の使命】
地域社会の健康と福祉を支える基盤として、医療従事者や医療機関には常に安定した医療サービスの提供が求められる。特に地震や台風、豪雨など災害発生時には、患者の急増と医療従事者自身の被災が重なることから、医療機能が停止しない体制を構築することが極めて重要となる。
【止めない医療を目指して】
透析治療を必要とする患者は約34万人にのぼり、週3回、1回4~5時間の治療を欠かすことは生命の危機に直結する。この治療は専門的訓練を受けた医療従事者によって安全と質が確保されるため、災害時には透析医療の専門家を迅速に派遣することが必須となる。しかし、発災時に迅速に出動する災害医療支援チーム(DMAT)には透析の専門家が極めて少ない現状がある。このため、全国規模での人材確保を目指した組織体制の構築が必要と考え、2015年12月、透析医療関連の学術、職能団体による日本災害時透析医療協働支援チーム(JHAT)を組織し、神奈川工科大学に事務局を設置し活動を開始した。一方、災害弱者として、透析患者以外にも医療機関ではなく在宅で人工呼吸器を使用し生命を維持する患者約8000名が存在する。停電による医療機器への電源供給停止は、これら患者や介護者にとって大きな不安要素となっている。ポータブル蓄電池や電動車による給電では安全性が保証されていないため、自己責任での使用が求められるのが現状である。これに対応するため、国土交通省や一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の依頼を受け、商用電源以外の給電による医療機器運用の安全性を検証し、いくつかの知見を得た。
本講演では、以上に加えて災害時における医療継続を可能にする「医療機関-患者」の情報共有ツール(ホットライン)の必要性についても拙論を展開したい。